「パンくず」の話


私の人生には、特別なことは何も起こりませんでした。

金持ちになったわけでもなく、病気が奇跡的に癒されたわけでもない、平凡な毎日を普通に暮らしてきました。だからといって、神様から見放されたり、無視されたりしたのではありません。それどころか、一番大切なものを神様から頂いたと思っています。それは、友人を通してキリスト教について学び、恵みの助けを受けて神様を信じるようになったことです。

聖書に登場するカナンの女を見てみましょう(マタイ15.21-28)。祈りによって娘が瞬時に癒されました。よほど神様から恵みを頂いた人生に見えます。こんな恵みを羨ましく思う人もいるでしょう。しかし、カナンの女は、それを、食卓からこぼれ落ちた「パンくず」だと考えました。

イエス様は、それを聞いて心が動かされました。人生の困難が取り去られる恵みが、一番大切なものではありません。イエス様が子供たちに一番与えたい恵みは、「食卓のパン」、つまり目に見えない霊的なものです。それに比べると、病気が治るとか、借金問題が解決するとかは、「パンくず」といってもいいものでした。

「食卓のパン」は、病気になっても、会社が倒産してもなくなりません。それどころか、苦しい人生の最中にあって心を支えてくれるものです。この「食卓のパン」には、どれほど価値があるものでしょうか。何の変哲もない平凡な生活でも、神様を信じ、神様を愛し、人々に奉仕する人生は、どれほど偉大なことでしょうか。私たちは、なかなかそれに気づきません。あるいは、頭で分かっても、心で納得できません。(つづく)■

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