初心になる!

 「初心、忘るべからず」これは、世阿弥が『風姿花伝』の中で能の心得として書き残した言葉です。たとえベテランになっても、けっして馴れっこにならないようにという戒めであり、また習熟した事柄に対しても「初めて」向き合うかのように心掛けよ、という教えです。ベテランの人も最初は初心者でした。自分の持っている知識、経験、才能、感性、あらゆる力を総動員して、新しい道と向き合ったのです。そして、未知の世界に立ち向かっていくチャレンジ精神があったからこそ、道を切り開くことができたのです。だから、人生の壁にぶつかった時、初心に帰れと言われたりします。でも、みなさんはこれからです!

 みなさんは人生の節目を迎え、新しい世界に飛び立とうとしています。これまでは親の保護の下に成長してきましたが、これからは自分で道を切り開いていくことになります。もちろん親や先生が手伝ってくれるでしょうが、自分が主役です。責任も増えます。これまで学んできたことを総動員して、自分で考え、自分で決心して、自分で責任をとって行動します。自分の人生を自分で歩み始めるのです。これが「初心」です。みなさんにとっては、「初心を忘れるな」ではなく、今こそ「初心になる」ことが大切なのです。いつまでも親や先生に甘えた気持では、初心にすらなっていないと言えます。

 精道学園歌の歌詞に「心に愛の火を灯し 遥かな海へ 漕ぎ出さん♪」とあります。高校3年生のみなさんに贈りたい、ピッタリの言葉です。これが「初心」として心に刻まれていてほしいと願います。ただただ安全な失敗しない道、親の言いなりに生きる道、先を考えない行き当たりばったりの道。これでは人生のスタートラインに立てません。初心にすら帰れません。「遥かな海」とは人間社会を指します。海は世界とつながっています。そこに「漕ぎ出す」とは、エゴを捨て人と繋がり、人と人を結んで行くことです。社会と人々の幸せに貢献することを意味します。

 この歌詞は福音書の「沖に漕ぎ出して漁をしなさい」(ルカ5.4)というイエスの言葉に由来しています。神の望みに素直に応える使徒たちの姿がそこにはあります。未来を築くために夢と志を持って、自分の人生の第一歩を刻んでください。それが、あなたの「初心」でありますように。■
*2020/01/10 精道三川台高等学校3年生、朝の説教より(小寺神父)

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