一期一会(いちごいちえ)

 倒産寸前だった日産の業績を短期間でV字回復させ、日本で一躍有名にカルロス・ゴーン氏。凄腕経営者として高く評価され、人々の憧れの的になりました。その姿は輝いて見えました。ところが、不正蓄財で会社から訴えられ、法をくぐって密出国して、再び注目の的になりました。社員とはかけ離れた高額報酬を受け取りながら、影で更なる不正と思われる報酬を受けていることが発覚して、憧れは興醒めへ、さらに幻滅や軽蔑へと変わりました。あの輝いていた姿は偽物でした。優れた才能は会社からお金を絞り取るために使われていたのです。社員や会社を自分のために利用したと言われても仕方ないでしょう。偶像が地に堕ちた瞬間でした。

 偶像は遠くから見ると輝いて見えます。しかし、近づいて見ると冷たくて非情、自分のことしか考えていません。「偶像」は偽物の神ですから、その反対は「真実の神」です。それを真実の人生、真心の人と言ってもいいでしょう。それは遠くからは見えません。ところが近づくと周囲の人々を暖かく照らし出し、幸せにしているのです。日本の古い禅宗が伝える「二つの食卓ローソク」と言われる絵があります。一本は高くて遠くから輝いて見えるけれど、高すぎて食卓は薄暗くて料理もよく見えません。無口で暗い顔をして食べています。もう一つは、低くて近づかないと見えません。しかし食卓は明るく照らし出され、誰もが楽しく食事しています。

 あなたは、どちらの人生を選びますか。若い頃は高く輝く光に憧れ、それを目指すかもしれません。輝く光自体は素晴らしいことです。でも、もっと大切なことはその光で何を照らし、誰を幸せにするかです。自分を照らし、自分を満足させるだけなら「偶像の人生」でしょう。自分しか見ていないのです。人を見ていないのです。現代社会は消費主義と個人主義が幅を利かせ、個人的に経済的な成功を収めることに価値を置いています。つまり、自分を照らそうとしているのです。それに嫌気がさした若者は、大人にならない、社会に出ないという姿で反抗しています。気持は分かりますが、それも人を照らすことはありません。結局、個人主義に陥っています。

 人生を決定づけるのは人との出会いです。こんな人になりたい、この人に付いて行きたい、この人と一緒に働きたい、この人と人生を共にしたい、そんな出会いです。出会いは、真剣に人と向き合うことから始まります。それが一期一会です。よい本、よい人と出会ってください。日ごろの生き方が、それを左右します。まず、今日一日を精一杯生きましょう!■
*2020/01/24高三、朝の説教より(小寺神父)

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