人生、何を残すか?

 選手としても監督としても一流だった野村元監督が亡くなりました。84歳、偉大な記録と共に人々の記憶に残る人生でした。彼は人生について興味深い言葉を残しています。「財産を残す人生は下、仕事を残すは中、人を残すは上」。多くの日本人が冨を目指して努力していますが、そんな人生は成功しても下である。立派な仕事をして後世に残す方が良い。例えば、法隆寺などは千年の時を越えて人々を魅了し続けています。さらに優れているのは自分の夢を引き継ぐ人を育てることである。野村監督は「ID野球」を掲げ、その遺志を継ぐ選手が大勢います。彼らが受け継いだものを更に進化させています。そこに野村監督が生き続けているのです。「人を残した」見事な人生でした。

 イエス・キリストも同じです。「人々の救い」という大きな計画を自分一人でするのではなく、後継者を育て、十二使徒を残しました。彼らがイエスの始めた救いの業を引き継いで、それが今まで続いています。これからも続きます。偉大な事業は一代で完成しません。初代の創立者が抱いた夢や理想に共感して、それを引き継ぐ人が現れます。「人を残す」とは、そんな人生を指した言葉でしょう。社会に貢献する何かをしたいと、本気になって取り組むなら、必ず賛同する人が現れます。中途半端や人任せではいけません。自分がリスクを背負って背水の陣で本気になって取り組むのです。自分のためだけに働き、生きている人に誰もついて来ないし、共感も賛同もしてくれません。

 高校を卒業するみなさんは、いよいよ自分の人生を歩み始めます。その第一歩を踏み出すに当たり、最後の言葉を送りたいと思います。『天の国に宝を積め』、イエスの教えです。「この世」に富を蓄えても、死んだら無一物で何も持っていけません。死んだ時に私たちが手にしているのは、所有していたものではなく、人々「与えた」ものです。それが唯一自分に残るものなのです。自分の時間を与える。自分の愛情を与える。自分の大切なものを与える。誰かのために自分を与えるのです。こうして「天国に宝を積む」のです。

 人生は一人旅ではなく「道連れ」です。誰かと共に歩むものです。共有し、共感して、共に喜び、一緒に悲しんで、笑って生きるものです。仕事、家庭、社会、そこに人生があります。そこに自分を与える場所があります。そこで人々の心に「何かを残す人生」を歩んでください。
■2020/02/14 高校三年生、最後の朝の説教より(小寺神父)

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